研究成果・商品開発Our products

株式会社一成では、自然環境調査で培った現場力をいかし、大学や都道府県等の研究機関が開発した新技術を社会課題の解決に向けて応用する事業を実施しています。

獣害対策器材(web AIゲートかぞえもんAir)

開発の経緯

野生動物による農林業被害が全国で深刻化している中、比較的導入しやすい「わな」による捕獲が増えています。しかし、群れのうち1頭だけが捕獲されてしまい、それ以外の数頭がわなを学習してしまう「スマートディア(スレたシカ)」の問題や、イノシシ親子の群れではウリボー(子イノシシ)のみが捕獲され、被害対策効果が十分得られないという問題が全国的に問題となっていました。そこで、複数頭が入ってから捕獲を実行する仕組みや、大型の個体が入るまで捕獲を実行しない仕組みが求められていました。そこで開発されたのが赤外線センサーで自動カウントし自動で捕獲を実行する「AIゲート」で、一成ではその商品化、販売を担当しました。

その後、捕獲作業の省力化のために、AIゲートにICTを活用したネットワーク化についても研究がすすめられ、オンラインでわなの管理状況をリアルタイムに把握することができる「web AIゲート」が開発され、引き続き販売を担当しております。

現場でどう役に立ったか

一成では、兵庫県立大学、兵庫県森林動物研究センター等の研究グループが開発した野生動物捕獲システムの販売部分を担当し、ソーラーパネルや防水ボックスなど、野外という電子機器には過酷な環境下においてメンテナンスの手間を最小限にするための販売化にむけた最終調整を担当しました。また、現場において操作をして頂く農家の方や捕獲担当の方にも分かりやすく操作して頂けるよう、現地説明や電話対応などに取組んでいます。2024年時点で、全国35都道府県(北海道から九州まで)、200地域以上で導入され、獣害対策協議会、地域の農会、林野庁、環境省、一般企業の方など、様々な方にご利用いただいております。

調査器材の開発(ヤマネのお宿)

開発の経緯

国の天然記念物に指定されている「ヤマネ」は、夜行性かつ樹上で生活しているため、目撃することは稀で、その生息実態は十分に明らかになっていません。小さな体の割に広い行動範囲をもつため、その調査を行うためには、広範囲に数多くの巣箱を設置し、睡眠中の個体又は巣材の内容を観察する事により調査を行う必要がありますが、100個等の個数の箱型巣箱をリュックに入れることは難しいため、調査員を悩ませてきました。

そのため、筑波大学では、より効率的にヤマネ調査ができる巣箱を研究・開発しており、一成ではヤマネ調査を業務としていた実績をいかし、ヤマネ調査用巣箱の製造・販売を担当することとなりました。

現場でどう役に立ったか

ヤマネ調査用巣箱は重ね合わせてコンパクトに運搬することができるため、当社の調査員にも好評です。また、環境教育にも役立てていただくことを想定しており、ヤマネ調査マニュアルを作成し、巣材の中身からどのような動物(鳥やネズミなど)がいたかを推測できるよう、イラストや生物の写真を使いながら説明しています。